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2005.8.4 超軽量&高剛性ボディ EG6製作日記 vol.2
軽量化と高剛性

軽量化しながら剛性を得る。この相反するテーマをクリアーする為の方法を考えました。
まずは、要らないパーツはすべて取り除く。これはお約束です。
さらに、必要がないものは、新たに取りつけない。

あたりまえのことのようですが、軽量化する為に部品を取り除いても、剛性UPの為に不必要な部品を取りつけて、重たくなってのでは意味がありません。 そこで浮かんだ方法がベンディングです。
前回のコラムから、引き続き「ベンディング」という言葉が何度となく登場していますが、「ベンディング」ってなに?ってところから、もっと身近な例えでお話しましょう。

例えば、平面の板が1枚あるとします。このままの状態では、ペラペラで強度はありませんよね。
どの家庭にもある「お鍋」、これも元をたどれば1枚の板から出来ています。平面では強度がないものが、立体になることで強度がでる。まさにこれが、「ベンディング」なのです。車のモノコックボディは、「ベンディング」によって作られた集合体です。

ただ、市販されている車は、コストや生産効率を優先されているので、もっと手が入れられる余地が残されているのでは?と考えました。
剛性をアップさせるための部品の追加は最小限に抑えつつ、「ベンディング」の技術を駆使して、最小限で最大限の効果をあげようというのが今回の車両を製作するにあたっての、最大のコンセプトです。
ということで、ロールバーは使いません。

ベンディングには、曲げ加工絞り加工の2つに大別されます。
そして今回、補強材として折り曲げと丸曲げにてパーツ製作をしてみました。
ここがスチールアーチスト(藤田ぴょん)の工場です。
ただ、板を曲げるといっても、目的の品物を製作するにあたり一連の順序があります。
まず、けがき作業から始まり、切る、曲げる、つなぐという工程になります。
今回、ボディの補強材と使用する板は0.8t(0.8mm)です。切るといっても板が薄いと、なかなかまっすぐ切ることはできません。
そこでシャーリングという工作機械を使用し切断します。
スチールならば2.4t(2.4mm)までであれば、1200mmの長さのものまで切断可能です。
切断がうまく行かないと、曲げの加工の後のつなぐ(溶接)作業がうまくいかないのです。
曲げるために必要な金型を旋盤、フライス盤を使い製作し、ベンダーに取りつけて試し曲げ加工をし、金型の修正を行い仕上げていきます。
本当に時間のかかる作業ですが、昔はあたりまえのように行われていたのです。
「品物を作り出すには、品物を作る道具から自分で作って見る。」
という行動が非常に重要だと私は思います。やってみないと、成功か失敗かわかりませんからね。

うちにある機械は汎用機だから、すべてアナログです。
創意工夫で様々な形に変化する事が可能です。発想大事にし感性のまま製作して行きます。

今回は「ベンディング」について、前回より少し踏み込んだお話をしてみました。製作したパーツは、車両に装着されて只今塗装待ちの状態です。ここでお披露目しようかと思いましたが、綺麗な状態でお見せしたいので、次回まで少々お待ちください。
軽量化と高剛性を両立させる為、日々チャレンジしています。

次回は板金の接合についてお話します。                   つづく by藤田ぴょん
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